17.4 エピソード4
私の宝物
私の数多くの宝物の内で一番大事な物は、一冊の本です。
この本は、「糸田敬弘さん募金ご芳名簿」と言う本で、何処にも販売されていない本です。
移植手術をすることになった時、会社、組合、同期の方々が、私の手術費を捻出するために募金活動をして頂いた結果を綴った一冊の本です。
ここには2万2千112名の支援者が記載されています。360ページにもおよんでいます。本当に有難う御座いました。
当時、私は親の借金や家のローンの返済がやっと終わった頃で、貯えも殆んどなく、家を売却し、手術代(当時は全額負担で約1,500万円かかるとの事でした)を捻出し手術をするか、このまま手術しないで天命を待つかの二者択一を迫られていました。
私自身としては、妻や子供達にこれ以上の負担は掛けたくないし、好きなことをやらせて貰っていたので手術はせず天命を待つ覚悟でいました。
しかし、会社の人達、多くの仲間、親戚、知人の暖かいご支援や家族の理解のお陰で手術を受けることが出来ました。
この本は、その時のご支援して頂いた方々の絆の証であり、私の大事な宝物であります。
この本を見る度に思うのは、一日でも長く生き続けることが、ご支援頂いた方への恩返しと考えています。本当に有難う御座いました。