18.2 生体肝移植後のC型肝炎ウィルスの再熱と治療
生体肝移植後は、17.1エピソード2「分杭峠とC型肝炎ウィルス」でも述べた様に、ウィルスの完全消滅はありませんでした。
そのため、平成19年の2月2日より、リバビリン併用のペグインターフェロン治療を開始することといたしました。
当初は、治療効果が認められませんでしたが、2ヶ月後の4月頃からウィルスの減少が確認されてきました。。
治療効果と副作用は下のグラフのとおりであり、血液検査の結果は第4章「肝機能推移」を参照願います。
平成19年10月以降、HCVRNA定量が感度以下にまで減少しました。また、ウィルス判定も平成20年4月以降は感度以下になり、平成21年4月にリバビリン併用のペグインターフェロン治療を終了いたしました。
平成22年08月現在、治療終了から2年4ヶ月が経過しましたが、C型肝炎ウィルスの再熱はありませんでした。今後も再熱しないことを願っております。
H19.1.18 | H19.1.22 | H19.1.25 | H19.1.29 | H19.2.2 | H19.2.16 | H19.2.23 | H19.3.2 | H19.3.9 | H19.3.23 | H19.4.6 | H19.4.20 | H19.5.09 | H19.5.25 | H19.6.15 | H19.7.13 | H19.8.17 | H19.9.07 | |
ALT(GPT) | 26 | 20 | 24 | 23 | 23 | 23 | 23 | 24 | 25 | 19 | 20 | 24 | 23 | 24 | 29 | 17 | 14 | 20 |
Hb | 10.7 | 10.6 | 11.1 | 10.6 | 11.3 | 11.8 | 11.3 | 11.5 | 11.3 | 11.4 | 11.2 | 11.3 | 10.9 | 11.1 | 11.1 | 11.4 | 10.5 | 10.8 |
WBC×10 | 1.7 | 1.9 | 2.2 | 2.1 | 2.1 | 2 | 2.1 | 1.7 | 1.7 | 1.5 | 1.6 | 1.5 | 2.2 | 2.6 | 1.9 | 3.3 | 2.3 | 2.3 |
Neutrophil | 52.7 | 50 | 39.3 | 45.2 | 52.9 | 42.5 | 56.3 | 58.9 | 64.3 | 53.3 | 51.2 | 53.9 | 48.3 | 51.3 | 57.2 | 75.1 | 70.1 | |
Neutrophil数 | 0.9 | 0.9 | 0.9 | 0.9 | 1.1 | 0.9 | 1.2 | 1 | 1.7 | 1.5 | 0.8 | 0.8 | 1.1 | 1.3 | 1.1 | 2.4 | 1.6 | |
血小板×10 | 70 | 70 | 78 | 73 | 76 | 62 | 61 | 59 | 62 | 56 | 56 | 57 | 60 | 60 | 69 | 77 | 62 | 50 |
HCVRNA定量 | 864 | 733 | 763 | 294 | 250 | 82 | 2.7 | 0.2 |
H19.10.05 | H19.11.05 | H19.12.14 | H19.12.28 | H20.01.25 | H20.02.22 | H20.03.21 | H20.04.18 | H20.05.12 | H20.06.13 | H20.07.11 | H20.08.08 | H20.09.12 | |
ALT(GPT) | 15 | 13 | 14 | 18 | 17 | 18 | 17 | 21 | 21 | 21 | 17 | 18 | 18 |
Hb | 10.7 | 9.8 | 11.3 | 10.4 | 11.4 | 11.1 | 10.9 | 11.1 | 10.3 | 10.9 | 10.6 | 10.6 | 10.6 |
WBC×10 | 2.0 | 3.2 | 2.3 | 2.0 | 1.9 | 1.9 | 1.8 | 2.1 | 1.4 | 1.4 | 1.6 | 2.0 | 2.1 |
Neutrophil | 62.5 | 82.1 | 72.4 | 54.1 | 67.0 | 62.6 | 64.0 | 61.8 | 65.9 | 63.9 | 69.3 | 66.0 | 62.9 |
Neutrophil数 | 1.3 | 2.7 | 1.7 | 1.1 | 1.3 | 1.2 | 1.1 | 1.3 | 0.9 | 0.9 | 1.1 | 1.3 | 1.3 |
血小板×10 | 55 | 53 | 76 | 70 | 74 | 71 | 69 | 84 | 88 | 70 | 74 | 75 | 95 |
HCVRNA定量 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
HCVRNAタックマン | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |||||||
HCVRNA判定 | + | + | + | + | + | 感度以下 | + | 感度以下 | 感度以下 | 感度以下 | 感度以下 | 感度以下 | 感度以下 |
H20.10.10 | H20.11.07 | H20.12.16 | H21.01.16 | H21.02.13 | H21.03.13 | H21.04.17 | |
ALT(GPT) | 17 | 13 | 13 | 21 | 19 | 15 | 18 |
Hb | 10.5 | 10.1 | 10.4 | 10.1 | 10.6 | 10.6 | 10.8 |
WBC×10 | 2.0 | 1.0 | 3.2 | 1.9 | 1.9 | 3.7 | 1.9 |
Neutrophil | 68.4 | 67.8 | 76.2 | 70.7 | 61.2 | 79.6 | 63.2 |
Neutrophil数 | 1.4 | 1.2 | 2.4 | 1.4 | 1.2 | 3.0 | 1.2 |
血小板×10 | 85 | 81 | 121 | 87 | 79 | 91 | 104 |
HCVRNA定量 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
HCVRNAタックマン | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
HCVRNA判定 | 感度以下 | 感度以下 | 感度以下 | 感度以下 | 感度以下 | 感度以下 | 感度以下 |
HCVRNAタックマン(Taq Man)法:C型肝炎の新しいウィルス検査方法です。
以前の最も精密な定性検査で治療終了時に陰性であった人でも、さらに敏感なタックマン法で検査すると10%程度にウィルス残存があったと言う報告があります。
H20.9.12時点での治療方法 RBV 600mg/日 PEG-IFN 50μg/週 ペグイントロン(50) 0.5ml皮下注
H21.4.10終了
★ 生体肝移植後の治療と効果
分杭峠での自然治療、リバビリン併用のペグインターフェロンによる化学治療により、C型肝炎ウィルスは、下のグラフの様に推移してきました。
6回目で急激に減少したのは、今までと違い2日間現地に滞在し、十分に気を浴びたお蔭ではないかと思います。
C型肝炎ウィルスが陰性化したので、平成21年4月10日にリバビリン併用のペグインターフェロン治療を終了いたしました。
★ インターフェロン療法
1.リバビリンとペグインターフェロンの併用療法
リバビリンは内服の抗ウイルス剤です。「リバビリン」はいわゆる一般名で、商品名は「レベトール」といいます。
インターフェロンと併用することにより、C型肝炎ウィルスの排除効果が増強されます。
ペグインターフェロンは、インターフェロンに(ペグ)という物質を結合させ、安定したインターフェロンの血中濃度を維持し、週1回の注射で優れた効果が得られるように作られた新しいインターフェロン製剤です。
2.効果と副作用
効果:ペグインターフェロンとリバビリンとの併用療法により、従来のインターフェロン療法では効果の低かったウイルス遺伝子型ジェノタイプ1型(セログループ1)かつウイルス量の多い患者にも高い治療効果が期待できます。
副作用:インフルエンザ様症状(発熱、悪寒、全身倦怠感、頭痛、関節痛)、食欲不振等の消化器症状、精神神経症状、間質性肺炎等の症状が現れます。
3.検査値の異常
以下の検査値に異常が現れるようになります。
(1)ヘモグロビン減少(Hb):正常値 13〜18g/dl(男)11〜16g/d(女)
(2)白血球減少(WBC):正常値 3,100〜9,000/mm
(3)好中球減少(Neutrophil):正常値 1,200〜5,800/mm
(4)血小板減少:正常値 14万〜38万個/mm3 (140〜380×10)
私の場合は白血球、血小板減少が見られます。
4.インターフェロン医療の公的助成
平成20年(2008年)4月から、B型及びC型肝炎ウイルスの除去を目的とするインターフェロン治療を受けられる方に対して、医療費の公的な助成制度が新しく始まりました。ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法もこの助成の対象です。
平成21年(2009年)4月には一部改定が行われ、さらに利用しやすくなりました。
(1)助成の対象
B型及びC型肝炎ウイルスの除去を目的として行うインターフェロン治療で、保険適用となっているもの(初診料、再診料、検査料等を含む)が対象となります。
(注)医療費助成を受けるためには、県が発行する受給者証が必要となります。また、インターフェロン治療とは無関係な治療は対象となりません。
(2)自己負担額
所得に応じて負担額が異なります。
自己負担限度額表
階層区分 |
自己負担限度額(月額) |
|
A |
世帯の市町村民税(所得割)課税年額が65,000円未満の場合 |
10,000円 |
B |
世帯の市町村民税(所得割)課税年額が65,000円以上235,000円未満の場合 |
30,000円 |
C |
世帯の市町村民税(所得割)課税年額が235,000円以上の場合 |
50,000円 |
インターフェロン治療にかかる薬剤費、診察費、入院費などの自己負担の上限を、収入に応じて月額1〜5万円とし、残りの費用を国と自治体が負担します。
2009年4月からは、自己負担の上限額を決める所得階層区分の算定の基準(注1)が変更され、また助成期間は最長1年間とされていましたが、一部の患者さん(注2)については最長1年6カ月に延長されました。
(注1)「住民票上の世帯全員の市町村民税課税年額の合算」から「原則として住民票上の世帯全員の市町村民税課税年額の合算、ただし税制上・医療保険上の扶養関係にないと認められる者については、当該「世帯」の市町村民税額の合算対象から除外できる」に変更。
(注2)一定の要件を満たし、医師が、ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法の延長投与(72週投与)が必要と認める患者。
(3)申請
助成を受けるには申請が必要です。
実際に必要となる書類や書類の提出先は、都道府県ごとに異なります。詳しくは、各都道府県及び担当医師等に問合せて願います。
参考 厚生労働省:「インターフェロン治療に対する医療費助成」
石川県:石川県 健康福祉部 健康推進課 肝炎医療費助成 ホームページ
申請が認められれば、肝炎インターフェロン治療受給者証が交付されます。