20.「肝移植の現状と金沢大学附属病院における生体肝移植の治療成績」講演会概要
平成19年7月22日に「金沢大学肝移植者友の会」(通称:きんかんの会)の総会に先立ち、金沢大学附属病院の肝胆膵・移植外科の大西一朗医師より「世界と日本の肝移植の現状と金沢大学附属病院における生体肝移植の治療成績」と題した講演が行われました。
講演内容は@世界の肝移植事情,日本の肝移植事情
A日本の肝移植と米国の肝移植の治療成績の比較
B生体ドナーの術後の愁訴に関するアンケート結果
C当院で行った生体肝移植の治療成績
等です。
なお、Cの当院で行われた生体肝移植治療成績の概要は以下のとおりです。
データの無断使用はご遠慮願います。
生体肝移植は46例(レシピエント46例、ドナー47例)が行われ、肝移植に至ったレシピエントの病気の主なものとしては、肝炎ウィルスによる肝硬変26例(C型18例、B型8例)(57%)で、内21例が肝癌を併発しています。以下、原発性胆汁性肝硬変6例(13%)、胆道閉鎖症4例(9%)、Wilson病4例(9%)、アルコール性等肝硬変3例(6%)、劇症肝炎3例(6%)と続きます。
ドナーとなられた方とレシピエントとの関係は、子供21例(45%)、配偶者12例(26%)、親6例(13%)、兄弟姉妹6例(13%)、従兄弟1例(2%)、娘婿1例(2%)となっています。
治療成績からみると、ドナーの年齢とグラフト肝容積では、ドナー年齢が45歳以上でグラフト肝 / 標準肝容積率が40%以下となると生存率が急激に減少しています。
レシピエントの年齢とドナーの年齢との関係では、レシピエントの年齢に余り影響されず、ドナーの年齢に影響されやすい結果となりました。ドナー年齢が45歳以下の場合の生存率は、非常に高い結果となっています。
当院での5年累積生存率は84.8%であります。
最近の傾向として、ミラノ基準【5cm以下単発、3cm以下3個以下多発(血管浸潤や遠隔転移陰性)】を超える生体肝移植患者に、肝癌の再発が懸念されます。